AIでつくれる時代に、
何を人間が見極めるのか。
ロゴ、リブランディング、ビジョン図を通じたアイデンティティ設計
生成AIによってデザインの量産が容易になった時代に、ブランドを形作る真の価値とは何か。カチノデが実践する、AIを共創パートナーとしながらも、人間の高度な解釈と意思決定によって「その組織らしさ」を見極め、一貫したアイデンティティへと統合する独自のデザインプロセスを解説します。
生成AIの急速な進化によって、ロゴ案、コピー、Webサイト、キービジュアル、デザインシステムは、以前よりも圧倒的に速く、大量に作れるようになりました。制作の初速は劇的に上がり、選択肢は増え、試行錯誤のハードルも下がっています。しかし、組織やプロジェクトの「アイデンティティ」は、AIの出力をただ並べるだけでは決して生まれません。
AI時代のアイデンティティ設計において最も重要なのは、造形する力そのものではなく、無数の選択肢の中から「その組織らしさの本質」を見極め、一貫した言葉と形へ編集する力です。
カチノデは、スタートアップのロゴデザイン、オープンイノベーションにおけるビジョン図、そして自社自身のリブランディングを通じて、見えない価値を「語れるアイデンティティ」へと変換する独自のプロセスに取り組んできました。
支援領域と、対象となるプロジェクト。
アイデンティティ整理・コンセプト設計
- 組織・サービス・プロジェクトのコア価値整理
- 時代背景と変化の言語化
- ブランドステートメント構築
AI活用型クリエイティブ開発
- AIアウトプットを起点にしたロゴブラッシュアップ
- 形状の精密なクリンナップ
- カラーシステム・タイポグラフィ設計
コンテキストの視覚化(ビジョン図)
- 複数関係者の意図を網羅した概念図・コンセプト図の作成
- 社内浸透(インナーブランディング)のためのビジュアル化
マルチ接点へのブランド展開
- Webサイト・LP設計・制作
- UI・コンポーネント設計
- デザインシステム構築
- 提案書・アイデンティティのガイドライン化
制作の手段が増えるほど、アイデンティティは曖昧になりやすい
AIを活用することで、ロゴの初期案を瞬時に何十パターンも出し、コピーを複数生成し、WebサイトのUIやデザインシステムの方向性を短時間で比較検証する工程は、驚くほど効率化されました。一方で、アウトプットの量と選択肢が爆発的に増えるほど、別のレイヤーの難しさが浮き彫りになります。
AIの出力は、確率論に基づいた「可能性の束」にすぎません。そこから組織のアイデンティティとして成立する固有の表現を選び抜き、磨き、固有の意味を与えるためには、人間による高度な解釈と編集のプロセスが不可欠です。
“それっぽい”表現の氾濫から、使い続けられる独自の物語へ
AI時代のブランディングやアイデンティティ設計では、以下のような新しい課題が生じやすくなっています。
選択肢の過多による基準の喪失
多数の案を生成できる一方で、何を基準に選別・評価すべきかの軸が曖昧になりやすい。
意味性の希薄化
「かっこいい」「今っぽい」「整っている」ビジュアルは一瞬で作れるが、それが組織の歴史や文脈、固有の価値を表しているとは限らない。
展開・運用フェーズでの破綻
単体のアウトプットとしては綺麗でも、Web、資料、名刺、実際のプロダクト画面などに展開(スケール)した際に機能しない。
言葉とビジュアルの分断
AIによって部分ごとに生成された結果、コピー、ロゴ、UIデザインがバラバラに見え、一貫した物語(システム)にならない。
本質的な課題は、AIを使うか使わないかという議論ではありません。AIによって拡張された選択肢の中から、組織やプロジェクトの文脈に照らして真実を見極め、社会に機能し続けるアイデンティティへと統合できるかにあります。
AIの出力と人間の判断を行き来する、5つのアプローチ
カチノデは、AIを先端のパートナーとしてプロセスに深く組み込みながらも、最終的なアイデンティティの着地においては、人間による解釈と編集の精度を徹底的に追求しています。
AIのアウトプットを、ブランドとして成立する精度へ磨き上げる
スタートアップのサービスロゴ制作において、カチノデはAI生成による初期プロトタイプを起点とするアプローチを実践しました。AIは短時間で多様なバリエーションを提示できる強みがありますが、そのままでは造形の微細な精度、視認性、さまざまな媒体への展開性に課題が残ります。私たちはAIの出力を「可能性を秘めた素材」として捉え、形状の数理的な整理、カラーシステムの再設計など、デザイナーの手によってリファイン。余分なノイズを削ぎ落とし、過酷な使用環境(縮小表示やモノクロ印刷など)にも耐えうる、ブランドの象徴へと仕上げました。
AIには見えない「複雑なコンテキスト」を読み解き、ビジョン図に変換する
多様なプレイヤーが関わるオープンイノベーションプロジェクトでは、あえてAI生成ではなく、人間同士の対話によるコンテキスト(文脈)の抽出に特化し、社内向けの「ビジョン図」を制作しました。事業部門、経営層、外部パートナーなど、異なる意図を持つ関係者の言葉を紡ぎ直し、プロジェクトの目的や価値の流れを一枚の図解として可視化。AIがまだ学習していない「その組織だけの生々しい関係性や未来像」を整理し共通言語化するこのプロセスは、まさにAI時代にこそ価値が高まる、人間ならではのアイデンティティ設計の真髄です。
自社の変化と未来を、AIとの対話から再定義する
カチノデ自身の「リブランディング」においては、AIを思考のスパークリングパートナーとして全面展開しました。創業期からの「価値を形にするデザイン会社」から、「スタートアップエコシステムや新規事業の成長スパイラルを設計する会社」へと領域が拡張した現在地を再定義するため、会社の過去データの棚卸し、提供価値の再言語化、UIデザインシステムの検討にAIを導入しています。具体的には、Claude Design等を用いてLPのデザインコンポーネントやカラーグラデーションの表現案を高速で同時生成し、比較検討のサイクルを圧倒的に加速させました。
ロゴ、図、ビジュアル、Webを一貫した「ひとつの物語」へ統合する
組織のアイデンティティは、点(ひとつの制作物)で完結するものではありません。ロゴは記憶の記号、ビジョン図は思想の構造、キービジュアルは直感的な空気感、そしてWebサイトや資料はそれらを社会へと届けるインターフェース(接点)です。AIによって個別のパーツが簡単に作れる時代だからこそ、カチノデはこれらをバラバラの制作物として扱わず、組織の価値を語る一連の「一貫したアイデンティティシステム」として統合・設計します。
「あえて選ばないこと」を決め、意思決定の軸をつくる
AIは制作の試行回数を無限に広げてくれますが、「何を前面に出し、何をあえて語らないか」「どの案を捨て、どれを選ぶべきか」というクリエイティブの最終的な意思決定は、人間にしかできません。カチノデが伴走するデザインプロセスで最も重視しているのは、クライアントと共にAIの広げた可能性を評価し、違和感や可能性を見極め、最後に「これで行く」という覚悟に意味を与えること。この見極めのプロセスそのものが、強固なアイデンティティの基盤となります。
アイデンティティ設計における支援・制作実績
カチノデがこれまでにAI活用と人間の判断を掛け合わせ、実装してきたクリエイティブ実績です。
- 組織・サービス・プロジェクトの提供価値整理 / 変化の背景言語化
- ブランドコンセプト / ステートメント開発
- 変化を接続するブランドストーリーの再構成
- サービスロゴデザイン / 形状整理 / カラーシステム設計
- キービジュアル制作 / コンセプトビジュアル開発
- 複数部門の合意形成を促すビジョン図 / 概念図の制作
- レスポンシブWebサイト / ブランドLPの実装
- AI生成プロトタイプの評価・選定・精緻なブラッシュアップ
- Claude Design等を活用した高速UI・コンポーネント検討
- 次世代型デザインシステム(デザイントークン)の構築
アイデンティティが、日々の判断とコミュニケーションの「北極星」になる
カチノデが目指すのは、表層的な完成度が高いデザインを作ることではありません。アイデンティティが明確になることで、組織やプロジェクトのなかに持続的な変容を生み出すことです。
経営者・事業責任者
自分たちの現在地と未来の方向性を、ブレない言葉とビジュアルで社会へロジカルに説明できる状態へ。
インサイド(チーム・関係者)
ロゴやビジョン図、ステートメントを「共通言語」として、全員が同じ物語を共有し自走できる状態へ。
アウトサイド(顧客・パートナー)
その組織が何を大切にし、どんな未来を作ろうとしているのかを、直感的に信頼・共感できる状態へ。
AI共創プロセス
AIをただの作業自動化ツールとしてではなく、人間の選択肢を広げ、思考と判断を深めるための「良き相棒」として飼い慣らせる状態へ。
完成したロゴやWebサイトは、ゴールではなくスタートです。日々の営業、採用、提案、プロジェクト運営の中で繰り返し使われ、参照されることで、アイデンティティは組織の確固たる「判断基準」として機能し始めます。
AI時代のデザインは、つくる力ではなく、
見極める力に宿る
AIによって、制作のスピードと量は圧倒的に解放されました。デザインの「民主化」が進むからこそ、これから市場で決定的な差を生むのは、つくる力そのものではありません。「自分たちは何を選ぶべきか。何を残し、何を変えるべきか。そして、何をあえて語らないのか」。その冷徹でエモーショナルな判断のプロセスの中にこそ、組織のアイデンティティは宿ります。
カチノデにとってデザインとは、単に見た目の表面を整えることではありません。見えない価値を読み解き、言葉を与え、形にし、社会との最適な接点へ展開していくことです。
AIが当たり前に前提となる時代だからこそ、人間が価値を見極め、物語として編集するナラティブな力が光を放ちます。見えない価値を、語れるアイデンティティに変える。それこそが、カチノデの提供する Value Design です。